兵庫きのこ研究会 秋のキノコ観察合宿2014 日和田高原の巻



今年の合宿は、日和田高原。

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私自身あまりよくこのフィールドのことを知らなかったのですが、まずその位置が長野県と岐阜県の県ざかいということもあって、「未知の領域」感覚に拍車を掛けられたわけです。
地図を見ると、御嶽山の北方山麓、山深いことは間違いない、加えて、下見のときに野生の猿に出会い、深山の体感をまともに受けたのでした。
(いや、ほんとに輪になって談笑していた原始人が我々に気づいて慌てて逃げる様でしたよ)

その期待通りこの合宿を通しては、これまでに見られなかった本物のキノコ(というのも大袈裟ではございますが)に次々遭遇し、嬉しい鼓動に日頃の鬱陶しい都会勤務をぬぐい消す爽やかさを覚えたのでありました。



■■■■■いちにちめ■■■■■
行く道、延々8時間におよぶバスの旅は、乗り心地の良い中型バス(料金区分は立派に「大型」)だけあって振り返ると疲れも覚えず、待ちきれないようにロッジに荷物を置くなり、フィールドをさまよう影がここそこに見える次第。

迷子にだけはならんとってね、と幹事なりに心配しつつ、我も散策へまいります。

とにかく明日の楽しみの予告編として、「期待通り、ベニテングタケはありました」との一報に、最大の安堵をおぼえました。

>>やっと合えたね



例年より冷涼なこのところの気候とのことで、昨日の最低気温5度、の情報に参加の皆さんの健康を注意喚起しながら、明日のためのワインを、、、、おっと、、無くなっちまった。

まあ、その勢いで全く予定してなかった、わざと予定してなかった「同定会」が展開してしまい、なんでじゃー!と思いつつも、携帯顕微鏡をお借りしてカクミノシメジの実(胞子)が「角」いことを確認するなど、気がつくと人を差し置いておたくしている自分がいました。

■■■■■ふつかめ■■■■■
翌朝は少し早めにコテージを抜けて、誰々さんのあとを追うと、いや、追うつもりが見失い、そのかわり別のグループの自慢話の多い乗務員さんから、今朝は2℃じゃと告げられ、再度「秘境」を体感したわけです。

>>乗鞍岳がロッジセンターコテージの前に見える。
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>>朝食風景
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>>こちらは御嶽



2日目は昨晩出立(しゅったつ)し、朝駆けに来られたU井、K徳の両氏を迎え、また、今回何かと教わりたい、T山氏はじめ信州きのこの会の方々とも打ち解けつつ、8時半にはいよいよフィールド観察へ出発しました。

>>さっそくゲット
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オオツガタケ、ハナイグチ、ジンガサドクフウセンタケ、ムラサキアブラシメジ、本家ドクツルタケなど、立派な家柄の菌(くさびら)のご尊顔を拝し、恭悦至極にございます。

>>珍菌ツノシメジあらわる
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はじめは熊が出るかもと、おずおずの皆さんも、次第に自由奔放に動き始め、あちらこちらで、「コレはナニー!」の声。
ようやくかわいいヒメベニテングタケに遭遇し、私もキノコを探す気持ちになりました。



ありそうでなかなか無い、「モドキ」の付かない元祖的キノコもあり、雄大で深い森に育まれるキノコの大きな存在に深呼吸をしました。

>>みるみる収穫が!
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>>マイタケを発見する寸前の野澤さんの写真です。この数十秒後に、歓喜の雄叫びが…


しかし何といっても、そのあとの嬉しくて舞踊るようなキノコ、そう天然の「マイタケ」を皆で取り囲んで撮影会をしたことがこの日の絶頂期であった、のだろうと思います。


(私は自分の位置がわからなくなったハナイグチ隊の緊急連絡を受けて1時間の捜索のため、その感動は伝え聞くのみです)

>>フィールドわいわい風景
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>>こんな所でキノコ観察, かすかに背中が見えます
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>>キノコ以外にも興味が…「アケボノソウ」との事でした


たっぷり堪能した観察の時間、採取の時間、お昼のカレーがうまいナァ〜。

>>昼食のカレー


信州きのこの会の方々は、大きなブルーシートを広げて、同定会を始めておられます。
さすが、私たちには初見参ばかりのキノコでも、てきぱき観察票を記入して置いていかれます。

>>信州きのこの会の同定会
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午後からも熱心に観察採取はつづき、夕闇迫る中で帰宿、そして同定会。

>>S君 手に持っているのはハナイグチだそうです、それにしても嬉しそう。


>>同定会の真っ最中
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日没後の光で写真も真っ青になってしまい、あとで同定の見返しに耐えるかどうか〜〜〜。



この夜の宴会は、たっぷりの夕食後、
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>>宴のはじまり


もう食べきれないよというほどのアテと酒に、もっぱら談笑を楽しむ者、例年のコスメパフォーマンスに盛り上がる人。
その傍らで採取した食菌を調理する一番若い人など、
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アナーキーな懇親会となりましたが、注目のイベントは、「紅天狗茸試食会」でした。
この濃い旨味を味わったら、あなたも他のキノコの美味しさは全てあせてしまうでしょう。
やはり命がけで毒を食らうかぎりは最高の美味でなくてはなりませぬ。
そして良い子は決して真似をしてはなりませぬ。

■■■■■みっかめ■■■■■
3日目の朝も早かった。
しかし、何故かだれもめげずに起きてきた。
>>おはようございます
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↑ここを訪れた多くの団体の集合写真に見入る。

>>朝食風景
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さてさて、朝食のあとには、定番の集合写真。今回はみなさん集合が速かったですねー。一体感あります。
では、チーズ!!


では、バスにお乗りくださ〜い。

やはり時間をかけてバスは深山幽谷から高山市街へ降りてきました。期待の朝市を見るために寝ぼけ眼をこすって来た甲斐がありました。
高山別院駐車場から、まず観光案内所をご案内します。私の役目はそこまでで〜す。
高山の景色は美しく、朝9時半は、まだ連休の人波も押し寄せる直前でした。お約束のさるぼぼや赤かぶ、地酒、駄菓子、りんごなどなど思い思いの土産を手にして、美術館へ行く方あり、古民家を見学する者あり、そして早びるの「焼肉丼」「牛まぶし丼」「高山ラーメン」など美食に舌鼓をうち、合宿のフィナーレを味わいました。

>>高山の朝市 左:陣屋前朝市、右:宮川朝市
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>>下二之町 伝統的建造物群保存地区
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>>重要文化財 吉島家住宅
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>>まちを歩いてやがて酒蔵へ
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>>同じ頃それぞれの観光・・・・・
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>>お昼ご飯を激写
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今回の合宿は、真ん中の1日だけにキノコ観察を設定した短期集中型でしたが、参加された皆さんは充分きのこ観察を堪能されたようです。ずいぶん移動に時間がかかってしまった行程でしたが、苦痛なところはあまり無かったかと思っています。


>>終わりのご挨拶へ
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兵庫を遠くはなれて、違った環境・雰囲気の中で珍しいキノコやはじけた仲間と楽しい時間を過ごせて、感謝をいたしております。
(T,Nakashima すでに2週間が過ぎようとしている中で執筆)




写真提供
阿部nobuさん、伊藤keiさん、上田mayuさん、臼井kazuさん、幸徳sinさん、& 中嶋tomo

兵庫きのこ研究会 2014合宿 日和田高原
(採取キノコ一覧)
■9月13日(土)
和名学名写真備考
アイシメジTricholoma sejunctum (Sow. ) Quel._
アカアザタケRhodocollybia maculata (Alb. & Schwein.) Sing._
アカアシナガタケPhaeocollybia lugubris (Fr.) R. Heim_
アカアシボソチチタケ(仮)Lactarius sp._
アカカバイロタケRussula compacta Frost_
イボテングタケAmanita ibotengutake T. Oda, C. Tanaka & Tsuda_
ウスタケTurbinellus floccosus (Schwein.) Earle_
ウスフジフウセンタケCortinarius alboviolaceus (Pers. ) Fr._
オオウスムラサキフウセンタケCortinarius traganus (Fr. ) Fr._
オオキツネタケLaccaria bicolor (Marie) P. D. Orton_
オキナクサハツRussula senis Imai ( = Russula punctipes Sing ? )_
カクミノシメジLyophyllum sykosporum Hongo & Clemencon_
カラハツタケLactarius torminosus (Schaeff.) Gray_
カンバタケPiptoporus betulinus (Bull.) P. Karst._
キホコリタケLycoperdon lividum Pers._
クサハツRussula foetens (Pers.) Pers._
クリタケHypholoma lateritium (Schaeff.) P. Kumm._
クロチチタケLactarius lignyotus Fr._
コタマゴテングタケAmanita citrina (Schaeff.) Pers._
コチャダイゴケNidula niveotomentosa (Henn.) Lloyd_
コテングタケAmanita porphyria Alb. & Schwein._
サジタケInonotus scaurus (Lloyd) T. Hatt._
ショウゲンジCortinarius caperatus (Pers.) Fr._
シロヌメリイグチSuillus viscidus (L.) Roussel_
ズキンタケ(広義)Leotia lubrica (Scop.) Pers._
チチタケ(広義)Lactarius volemus (Fr.) Fr._
チャウロコタケStereum ostrea (Blume & T. Nees) Fr._
チョウジチチタケLactarius quietus (Fr.) Fr._
ツネノチャダイゴケCrucibulum laeve (Huds.) Kambly_
ツバフウセンタケCortinarius armillatus (Alb. & Schwein.) Fr._
ツリガネタケ(大型タイプ)Fomes fomentarius (L.) J.J. Kickx_
ツルタケ(広義)Amanita vaginata (Bull.) Lam._
ドクツルタケAmanita virosa (Fr.) _
ヌメリアカチチタケLactarius hysginus (Fr.) Fr._
ハナイグチSuillus grevillei (Klotz.) Sing._
ハンノキイグチGyrodon lividus (Bull.) Fr._
ヒメベニテングタケAmanita rubrovolvata S. Imai_
ベニテングタケAmanita muscaria (L.) Lam._
ベニハナイグチSuillus spraguei (Berk. & M. A. Curtis) Kuntze_
ホコリタケ(広義)Lycoperdon perlatum Pers._
ミヤマムラサキフウセンタケCortinarius violaceus (L.) Gray ssp. hercynicus (Pers.) Brandrud_
ムササビタケPsathyrella piluliformis (Bull.) P.D. Orton_
ムラサキイロガワリハツLactarius repraesentaneus Britzelm._
ムラサキスギタケGymnopilus luteofolius (Peck) Sing._
ムラサキヤマドリタケ近縁種Boletus violaceofuscus Chiu_
ヤマイグチ属の一種Leccinum sp._
リティズマ目の一種Rhytismatales sp._
レンガタケHeterobasidion orientale Tokuda, T. Hatt. & Y-C. Dai_
ワサビカレバタケGymnopus peronatus (Bolton) Antonin, Halling & Noordel._

■9月14日(日)
和名学名写真備考
アイシメジTricholoma sejunctum (Sow. ) Quel._
アイバシロハツRussula japonica Hongo_
アオイヌシメジClitocybe odora (Bull.) P. Kumm._
アオネノヤマイグチLeccinum variicolor Watling _
アカアシナガタケRhodocollybia maculata (Alb. & Schwein.) Sing._
アカアシボソチチタケLactarius sp._
アカツムタケPholiota astragalina (Fr.) Sing._
アシナガタケMycena polygramma (Bull.) Gray_
アシボソクリタケHypholoma marginatum J. Schr_t._
アミアシオニイグチStrobilomyces hongoi Hirot.Sato_
アメリカウラベニイロガワリBoletus subvelutipes Peck_
イボテングタケAmanita ibotengutake T. Oda, C. Tanaka & Tsuda_
ウスアカヒダタケHygrophorus calophyllus Karst._
ウスカワホウキタケRamaria ephemeroderma R.H. Petersen & M. Zang_
ウスタケTurbinellus floccosus (Schwein.) Earle_
ウスフジフウセンタケCortinarius alboviolaceus (Pers. ) Fr._
ウラベニガサPluteus cervinus_
オオウスムラサキフウセンタケCortinarius traganus (Fr. ) Fr._
オオカタウロコタケXylobolus annosus (Berk. & Broome) Boidin_
オオキツネタケLaccaria bicolor (Marie) P. D. Orton_
オオキヌハダトマヤタケInocybe fastigiata (Schaeff.) Quel._
オオシワカラカサタケCystodermella japonica (Thoen & Hongo) Harmaja_
オオツガタケCortinarius claricolor (Fr.) Fr._
オキナクサハツRussula senis Imai ( = Russula punctipes Sing ? )_
カクミノシメジLyophyllum sykosporum Hongo & Clemencon_
カバイロツルタケAmanita fulva (Schaeff.) Fr._
カラハツタケLactarius torminosus (Schaeff.) Gray_
カラマツチチタケLactarius porninsis Rolland_
カワラタケTrametes versicolor (L.) Lloyd_
ガンタケAmanita rubescens Pers._
カンバタケPiptoporus betulinus (Bull.) P. Karst._
キサマツモドキTricholomopsis decora (Fr.) Sing._
キツネタケLaccaria laccata (Scop.) Cooke_
キヒダマツシメジTricholoma fulvum (Bull.) Sacc._
キホコリタケLycoperdon lividum Pers._
クギタケChroogomphus rutilus (Schaeff.) O.K. Mill._
クサハツRussula foetens (Pers.) Pers._
クチキツトノミタケOphiocordyceps stylophora (Berk. & Broome) G.H. Sung, J.M. Sung, Hywel-Jones & Spatafora_
クリタケHypholoma lateritium (Schaeff.) P. Kumm._
クロカワBoletopsis grisea (Peck) Bondartsev & Singer_
クロチチタケLactarius lignyotus Fr._
クロチチダマシLactarius gerardii Peck_
クロハリタケPhellodon niger (Fr.) P. Karst._
コガネテングタケAmanita flavipes S. Imai_
コガネネバリコウヤクタケCrustodontia chrysocreas (Berk. & M.A. Curtis) Hjortstam & Ryvarden_
コガネホウキタケ?Ramaria aurea (Schaeff.) Quel._
コタマゴテングタケAmanita citrina (Schaeff.) Pers._
コチャダイゴケNidula niveotomentosa (Henn.) Lloyd_
ゴヨウイグチSuillus placidus (Bonorden) Sing._
サクラタケMycena pura (Pers.) P. Kumm._
ササクレフウセンタケCortinarius pholideus (Fr. ) Fr._
サジタケInonotus scaurus (Lloyd) T. Hatt._
ショウゲンジCortinarius caperatus (Pers.) Fr._
シロカイメンタケOxyporus cuneatus (Murrill) Aoshima_
シロナメツムタケPholiota lenta (Pers.) Sing._
シロヌメリイグチSuillus viscidus (L.) Roussel_
ジンガサドクフウセンタケCortinarius rubellus Cooke_
ズキンタケLeotia lubrica_
スミゾメヤマイグチLeccinum pseudoscabrum (Kallenb.) Sutara_
タケリタケHypomyces hyalinus_
タマシロオニタケAmanita sphaerobulbosa Hongo_
チシオタケMycena haematopus (Pers.) P. Kumm. _
チチタケLactarius volemus_
チャツムタケGymnopilus picreus (Pers.) P. Karst._
チョウジチチタケLactarius quietus (Fr.) Fr._
ツノシメジLeucopholiota decorosa (Peck) O.K. Mill., T.J. Volk & Bessette_
ツバフウセンタケCortinarius armillatus (Alb. & Schwein.) Fr._
ツリガネタケFomes fomentarius (L.) J.J. Kickx_
ツルタケAmanita vaginata_
ドクツルタケAmanita virosa (Fr.) Bertill._
ドクベニタケRussula emetica (Schaeff.) Pers._
トゲカラカサタケLepiota sp._
トサカホウキタケRamaria obtusissima (Peck) Corner_
ナギナタタケClavulinopsis fusiformis (Sowerby) Corner_
ナラタケ(広義)Armillaria mellea_
ニガクリタケ(広義)Hypholoma fasciculare_
ニカワハリタケPseudohydnum gelatinosum (Scop.) P. Karst._
ヌメリアカチチタケLactarius hysginus (Fr.) Fr._
ヌメリイグチ属の一種Suillus sp._
ヌメリガサ属の一種Hygrophorus sp._
ヌメリスギタケモドキPholiota cerifera (P. Karst.) P. Karst._
ヌメリツバイグチSuillus salmonicolor (Frost) Halling_
ハイムラサキフウセンタケCortinarius azureus Fr. → Cortinarius anomalus (Pers.) Fr._
ハナイグチSuillus grevillei (Klotz.) Sing._
ハナガサタケPholiota flammans (Batsch) P. Kumm._
ハンノキイグチGyrodon lividus (Bull.) Fr._
ヒダハタケPaxillus involutus (Batsch) Fr._
ヒメベニテングタケAmanita rubrovolvata S. Imai_
フクロツルタケAmanita volvata (Peck) Lloyd_
ベニテングタケAmanita muscaria (L.) Lam._
ベニナギナタタケClavulinopsis miyabeana (S. Ito) S. Ito_
ベニハナイグチSuillus spraguei (Berk. & M. A. Curtis) Kuntze_
ホウロクタケDaedalea dickinsii Yasuda_
ホコリタケLycoperdon perlatum_
ホソエノアカクビオレタケCordyceps rubrostromata Kobayasi_
マイタケGrifola frondosa (Dicks.) Gray_
マユダマタケPaecilomyces sp._
ミヤマアワタケBoletus obscurebrunneus (Hongo) Har. Takah._
ミヤマムラサキフウセンタケCortinarius violaceus (L.) Gray ssp. hercynicus (Pers.) Brandrud_
ムササビタケPsathyrella piluliformis (Bull.) P.D. Orton_
ムラサキアブラシメジCortinarius iodes Berk. & Curt._
モウセンアシベニイグチBoletus panniformis Taneyama & Har. Takah_
ヤマイグチLeccinum scabrum (Bull.) S. F. Gray_
ヤマイグチ属の一種Leccinum sp._
ヤマブシタケHericium erinaceus (Bull.) Pers._
レンガタケHeterobasidion orientale Tokuda, T. Hatt. & Y-C. Dai_
ロクショウグサレキンモドキChlorociboria aeruginascens (Nyl.) Kanouse ex C.S. Ramamurthi, Korf & L.R. Batra_
ワサビカレバタケGymnopus peronatus (Bolton) Antonin, Halling & Noordel._
ワタカラカサタケLepiota magnispora Murrill_