御影高校、総合学習講座支援報告

山上公人

 

昨年から協力でいる兵庫県立御影高校の総合学習講座「自然の恵み 〜森から学ぶ」が、今年度はSPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)として、独立行政法人科学技術振興機構(JST)から認められました。SPPとは文部科学省の「次代を担う若者への理数教育の拡充」施策の一環として、学校と大学・科学館等の連携により、生徒の科学技術、理科・数学(算数)に関する興味・関心と知的探究心等を育成することを目的とする事業です。

 

 

講座は「自然の恵み〜森から学ぶ」と題し、人間と自然の関わりを森林の生態から学ばせ、自然や環境に対する興味関心を高め、それらを大切に思う気持ちを養う事をテーマとしている。今年度は六甲山系の再度(ふたたび)公園 内「修法ヶ原」におけるキノコの調査、観察、標本作製を、「兵庫きのこ研究会」、「兵庫県立人と自然の博物館」の協力で季節を変えて実施 する。さらにキノコの完成標本は兵庫県立「人と自然の博物館」に展示し、一般の方々にも六甲山系の生態を知って もらう機会としたい。

(御影高校HP文章引用)

 

12月19日の講座発表会の記事が、12月20日・神戸新聞社朝刊に載りました。以下に同社HPから抜粋した記事内容を記載します。

「御影高校(神戸市東灘区御影石町)の二年生が、六甲山系で採取したキノコの標本作りを、専門家も使う高度な技法で進めている。二百二十種を採取し、既に八十種を標本化。県立人と自然の博物館(三田市)などの協力で、樹脂を塗り、色や形が自然に近い状態で見られるようにした。来年には同館で展示される予定。 総合学習で、人間と自然のかかわりを森から学んでいるグループの二十四人が、今年五月から取り組んでいる。七月と十月に計三回、北区の再度公園に出掛け、季節によって違うキノコを探して歩き回った。 集めたキノコは、六甲山系を中心に活動する市民グループの「兵庫きのこ研究会」のアドバイスを受けながら、図鑑をめくって名前を調べた。さらに人と自然の博物館の三橋弘宗主任研究員の指導で、キノコを瞬間冷凍させ、主に文化財の保存に使われる樹脂を塗って標本に。小さなキノコはプラスチックの樹脂の中に閉じこめ、空中に浮かんでいるように見せる」(森 信弘)12/20

 

 

 

兵庫きのこ研究会の講座への協力

 

「6月6日 御影高校校舎にてプロジェクターを用いた学習会」

1時限目の中嶋氏は「キノコという生きもの」と題して、キノコと言う言葉の雑学、メディアに出てくるキノコについての内容から講義を始めました。マジックマッシュルーム、さるまたけ、マタンゴ、フィギア、ディズニーアニメ、きのこの山などの話に生徒の反応は大きかったようです。続いて「キノコは生物界でどういう位置づけか」・「多界説への道」・「森でのキノコの役割」・「大まかな分類」など、生徒の頭をやわらくしてから話を進める中嶋氏に講義の巧さを感じました。

次に2時限目の山上です。私は次回から始める実際のフィールドワークについての諸注意から入りました。出し物は、マムシをはじめとする蛇類、スズメバチ、毛虫、ムカデ、ヤマウルシ、ハゼ・ヌルデでしたが、いきなり女生徒からドン引きされてしまいました。しかし、「危険を知らず山に入る事は危険」とばかし大熱演。その後は、次回から行くフィールドで実際に発見できそうな奇妙な形のキノコ、綺麗なキノコ、臭いキノコ、食べられるキノコ等を紹介し、なんとか気分転換に成功しました。

 

「7月17日 修法ヶ原で採取会」

秋山、田中の老獪コンビが担当しました。私は同定時の短時間しか出席できなかったのですが、元気のある生徒さんに「明日の日本は明るい」と感じました。同定もまじめに取り組んでいたようですが、図鑑の少なさが気になりました。

 

「10月3日 修法ヶ原で採取会」

秋山、田中、山上が担当しました。キノコ採取の他に山上が、カエルの捕まえ方・バッタ類の捕まえ方等をレクチャーしたところ男子生徒から思わぬ反響。こちらも童心に帰ってしまいました。

 

「10月31日 修法ヶ原で採取会」

中嶋、秋山、山上が担当しました。晩秋となりキノコも少なくなりましたが、カゴタケ・オオセイタカノウタケ(仮)などの稀菌もありました。採取会も3度目となると、さすがに生徒さん達の目も「キノコ目」が効くようになっており、乾燥した悪条件にもかかわらず健闘していたようです。

 

12月19日 御影公会堂で発表会

中嶋、田中、秋山、湯本、山上が参観。パワーポイントを使用した発表でなかなかの出来栄えでした。展示室では、兵庫県立人と自然の博物館の三橋先生の指導のもと完成した標本約50種が展示されており、完成度の高さに感銘を受けました。また当日に神戸新聞社からの取材が有り、早速にも翌日朝刊に大きな写真入りで紙面を飾っていた事は喜ばしい事です。尚、完成した標本は同博物館に展示される予定。

 

学習講座の様子

 

立派に完成した標本の数々

 

写真/山上、秋山

作成 買うとく