兵庫きのこ研究会

修法ヶ原定点観察会(2007.8.19)

 

定点観察会に参加して半年、先月の台風による観察会を除いて5回の参加は、常に驚きと新しい世界との出会いがありました。当初のおかんに誘われての参加動機(しぶしぶ、まぁいっかー・・・)とは裏腹に好奇心が旺盛になってくるのを感じる自分を不思議に思っています。

3月の初めての観察会、春が近いにもかかわらず雪の舞う寒さの中で、トガリアミガサタケの驚き・・きのことは思えない形状(なんじゃい、これがきのこか!)。もっと驚いたのは、地中の椿の花から生えているきのこ(椿から変なものが生えている!)。きのこの不思議ワールドに打ちのめされた一日でした。

でも、この好奇心とは、残念ながら、きのこについてはそれなりにで(失礼な表現で申し訳ありませんがもう少し時間がかかるように思います)、それよりもこの研究会に参加されている方々が、私が先入観として持っていた<おたく>とはまったく別世界で活動されていたことです(再びごめんなさい)。

さて、長々とこの半年間の感想を言いましたが、肝心の観察会の報告です。

集合時間の10時に、役員さんからの挨拶(猛暑のため先月の台風よりも悪い環境、暑さと雨の少ない時期、きのこにとって最悪という挨拶もあり)、3名(小学生1名)の新しい参加者の自己紹介。事務連絡の後それぞれのグループに分かれてきのこ観察に出発。

大龍寺方面のグループは、イグチ等々、雨量が少ないにもかかわらず予想以上の収穫でした。特に、コース最後のマツオウジは、今まで見た中では、見事な色つや、形状を持つものでした。

その他のグループは雨が少ない、猛暑という天候のため期待(?)どおりの収穫で終わるという結果になりました。

昼食後、同定台の周りに集まり、一同によるきのこの同定、解説。皆さん得意分野があるのでしょうか、呑みむら氏からはお酒に関連して肝臓に効けばいいなーとの<ウコンハツ>、小学生の参加に関わらず、楽しい<モモッチリ(ケショウハツ)>。食べられる・食べられないきのこの解説。また、雨の少ない時期のきのこは、枯れ葉系から出るきのこは元気がなく、樹木に寄生する系は樹木から養分?を得るため雨の影響が少ない・・・などは解りやすいとおかんは申しておりました。新人小学生の写生やチチタケの体験等々楽しい観察会は終わりました。

会員の皆様、猛暑の中ではありましたが、お疲れ様でした。昼食中にはにぎやかな会話と涼やかな風を楽しませていただき、今回も自分の勉強不足を、まぁいっかーまだまだ時間がある・・・と言い訳し、マツオウジの鈍く光り輝く不思議な白さと、「オウジは王子ではなく、食欲が旺盛のオウジ」とのさんじょうさんの解説を余韻に再度公園を後にしました。

長くてごめんなさい。 (文:中島金魚のふん)

 

勇ましい隊長を先頭に

(写真/買うとく)

 

写真を撮る

(写真/買うとく)

乾燥のためこんな老菌ばかり!

(写真/買うとく)

 

と思ったらこんなかわいい幼菌も!

(写真/買うとく)

暑さのせいで会員以外に人がいません

(写真/さんじょう)

ちょっと寂しい同定台

(写真/さんじょう)

 

新人のかわいい女の子をナンパするS氏

(写真/KIMATA)

 

こちらはしっかりときのこの指導をする呑みむら氏

(写真/買うとく)

小さい子供には負けてられません!

(写真/KIMATA)

 

名前がつけば解説

(写真/さんじょう)

解説を聞いてメモを取る熱心な会員もいれば・・・

(写真/KIMATA)

サボっている会員にはときに鉄拳制裁!

(写真/さんじょう)

 

                                                                                                                                                             

 

 

2007年8月度 修法ヶ原観察記録

天候:晴れ
参加者:22名
41種同定

 

和名

属名

科名

1

マツオウジ

マツオウジ属

ヒラタケ科

2

ヒメキシメジ

ヒメキシメジ属

キシメジ科

3

コトヒラシロテングタケ

テングタケ属

テングタケ科

4

コテングタケモドキ

テングタケ属

テングタケ科

5

フクロツルタケ

テングタケ属

テングタケ科

6

ツチナメコ近縁種

フミヅキタケ属

オキナタケ科

7

ニワタケ

ヒダハタケ属

ヒダハタケ科

8

オオアワタケ(仮)

アワタケ属

イグチ科

9

アワタケ属の一種

アワタケ属

イグチ科

10

キアミアシイグチ

イグチ属

イグチ科

11

オオミノクロアワタケ

イグチ属

イグチ科

12

キクバナイグチ

キクバナイグチ属

イグチ科

13

ミヤマベニイグチ

キクバナイグチ属

イグチ科

14

ニガイグチモドキ

ニガイグチ属

イグチ科

15

ニガイグチ属の一種

ニガイグチ属

イグチ科

16

ミドリニガイグチ

ニガイグチ属

イグチ科

17

チチタケ

チチタケ属

ベニタケ科

18

ケショウハツ

ベニタケ属

ベニタケ科

19

ムラサキカスリタケ

ベニタケ属

ベニタケ科

20

ウコンハツ

ベニタケ属

ベニタケ科

21

ベニタケ属の一種

ベニタケ属

ベニタケ科

22

フジウスタケ

ラッパタケ属

ラッパタケ科

23

フサヒメホウキタケ

フサヒメホウキタケ属

フサヒメホウキタケ科

24

イボタケ属の一種

イボタケ属

イボタケ科

25

モミジウロコタケ

カタウロコタケ属

ウロコタケ科

26

シロハカワラタケ

シハイタケ属

サルノコシカケ科

27

ウスバシハイタケ

シハイタケ属

サルノコシカケ科

28

ヒイロタケ

シュタケ属

サルノコシカケ科

29

カワラタケ

シロアミタケ属

サルノコシカケ科

30

アミスギタケ

タマチョレイタケ属

サルノコシカケ科

31

ツガサルノコシカケ

ツガサルノコシカケ属

サルノコシカケ科

32

ウチワタケ

ツヤウチワタケ属

サルノコシカケ科

33

コフキサルノコシカケ

マンネンタケ属

マンネンタケ科

34

ヒメカタショウロ

ニセショウロ属

ニセショウロ科

35

ノウタケ

ノウタケ属

ホコリタケ科

36

アラゲキクラゲ

キクラゲ属

キクラゲ科

37

ハナビラニカワタケ

シロキクラゲ属

シロキクラゲ科

38

ビョウタケ

ビョウタケ属

ズキンタケ科

39

ツクツクホウシタケ

イサリア属

スチルベラ科

40

ニセキンカクアカビョウタケ

ディケファロスポラ属

キンカクカクキン科

41

チャコブタケ

チャコブタケ属

クロサイワイタケ科

 

 

 

 

8 オオアワタケ(仮)  Xerocomus sp.
 2001年に初めて採取されたアワタケ属の一種。
 菌蕈研究所の長沢先生に同定を依頼したところ、「滋賀県・山口県でも採集例があり、一見アワタケ風で大型の子実体を形成するのでオオアワタケという和名を考えている。」との回答をいただいた。
 当会でもオオアワタケという和名で記録している。

15 ニガイグチ属の一種 Tylopilus sp.                          同定/幸徳
 外観的特徴からクロニガイグチに非常に似るが、1個体しか採取されなかったこと、老成していたことから上記のように同定した。修法ヶ原ではクロニガイグチは未記録。

38 ツクツクホウシタケ Isaria sinclairii (Berk.) Lloyd                  同定/室井
柄が幅広でしっかりしていて、胞子形成部分が平たいので通常のツクツクホウシタケとは雰囲気が異なる。ツクツクホウシタケの完全世代にツクツクボウシセミタケ(Cordyceps sinclairii )という種がある。ツクツクホウシタケとツクツクボウシセミタケは不完全世代(Anamorph)と完全世代(Teleomorph;有性世代とも言う)の関係で実は同一種である。有性世代が形成された個体はツクツクボウシセミタケと言われ珍菌である。
 しかしツクツクボウシセミタケが発見されたのは稀で、過去に一度だけ不完全世代と完全世代が同一宿主から発生したことがあり、その時の不完全世代の形が、柄が幅広でしっかりしていて、胞子形成部分が平たい感じである。今回の少し異常な形のツクツクホウシタケが、完全世代に近い状態なのかどうかも、情報が少ないので不明

 

 

マツオウジ

(写真/買うとく)

コトヒラシロテングタケ

(写真/さんじょう)

 

オオミノクロアワタケ

(写真/買うとく)

 

ニガイグチ属の一種

(写真/買うとく)

 

ケショウハツ

(写真/買うとく)

 

ツクツクホウシタケ

(写真/さんじょう)

 

 

 

作成 買うとく