兵庫きのこ研究会 修法ヶ原定点観察会(2015.7.19)

本日の観察会の数日前には台風が直撃しており、キノコにはあまり期待できない様子でした。
この日も午前中は雨が降っており、場所によっては通行止めのところもあったようです。
そのためか参加人数は普段よりも少数でした。
にも関わらず、今回採れたキノコの種数は100種超え!流石7月といったところでしょうか。
同定作業はいつもと変わらず大忙しとなりました。


夏本番!森の花火大会:ヤマジノカレバタケ

こちらは噴水花火:ツノマタタケケ

打ち上げ寸前:スジチャダイゴケ

親子?兄弟です:クロタマゴテングタケ

夏を彩る:ウコンハツ

台風一過、雨上がりと言えば…

大物取れたよ!ハイ、チーズ!

荷物多すぎませんか?

囲み撮影!

日曜日の昼下がり

カールおじさんも一息

同定台を囲み、あーだこーだ

激辛ツチカブリでのいじめ目撃!

きのこ界の次代を担う二人

久しぶりの解説はこの人

2015年7月19日 観察記録

天候:雨 参加者:19人+見学1人
和名 属名(新分類/旧分類) 科名(新分類/旧分類)
1 マツオウジ マツオウジ属 キカイガラタケ科
2 アカヤマタケ アカヤマタケ属 ヌメリガサタケ科
3 カレバキツネタケ キツネタケ属 ヒドナンギウム科/キシメジ科
4 ミネアカゲシメジ(宮内仮) キシメジ属 キシメジ科
5 ヒメキシメジ ヒメキシメジ属 ?科/キシメジ科
6 ヒメシロウテナタケ ヒメシロウテナタケ属 ?科/キシメジ科
7 オリーブサカズキタケ ゲルロネマ属/ヒナノヒガサ属 ポロテレウム科/キジメジ科
8 アマタケ モリノカレバタケ属 ツキヨタケ科/キシメジ科
9 ヤマジノカレバタケ モリノカレバタケ属 ツキヨタケ科/キシメジ科
10 ツエタケ属の一種 ツエタケ属 タマバリタケ科/キシメジ科
11 ダイダイガサ ダイダイガサ属 タマバリタケ科/キシメジ科
12 シバフタケ ホウライタケ属 ホウライタケ科/キシメジ科
13 ハイチャヒダサカズキタケ ニセアシナガタケ属 ホウライタケ科/キシメジ科
14 ワサビタケ ワサビタケ属 クヌギタケ科/キシメジ科
15 サクラタケ クヌギタケ属 クヌギタケ科/キシメジ科
16 クヌギタケ属の一種 クヌギタケ属 クヌギタケ科
17 ニカワラッシタケ ラッシタケ属 クヌギタケ科/キシメジ科
18 カバイロツルタケ テングタケ属 テングタケ科
19 ガンタケ テングタケ属 テングタケ科
20 クロコタマゴテングタケ テングタケ属 テングタケ科
21 クロタマゴテングタケ  テングタケ属 テングタケ科
22 コテングタケモドキ テングタケ属 テングタケ科
23 タマゴテングタケモドキ(アカハテングタケ) テングタケ属 テングタケ科
24 タマシロオニタケ テングタケ属 テングタケ科
25 テングタケダマシ テングタケ属 テングタケ科
26 ニオイドクツルタケ テングタケ属 テングタケ科
27 ヒメコナカブリツルタケ テングタケ属 テングタケ科
28 フクロツルタケ(広義) テングタケ属 テングタケ科
29 ウラベニガサ ウラベニガサ属 ウラベニガサ科
30 ウラベニガサ属の一種 ウラベニガサ属 ウラベニガサ科
31 ミヤママルミノヒトヨタケ ヒメヒトヨタケ属/ヒトヨタケ属 ナヨタケ科/ヒトヨタケ科
32 アセタケ属の一種 アセタケ属 アセタケ科/フウセンタケ科
33 アカイボカサタケ イッポンシメジ属 イッポンシメジ科
34 イッポンシメジ属の一種 イッポンシメジ属 イッポンシメジ科
35 チチアワタケ ヌメリイグチ属 ヌメリイグチ科/イグチ科
36 オニイグチモドキ オニイグチ属 イグチ科/オニイグチ科
37 オオヤシャイグチ ヤシャイグチ属 イグチ科/オニイグチ科
38 クリカワヤシャイグチ ヤシャイグチ属 イグチ科/オニイグチ科
39 ミヤマベニイグチ キクバナイグチ属 イグチ科/オニイグチ科
40 ハナガサイグチ キイロイグチ属 イグチ科
41 キアシヤマドリタケ(池田仮) イグチ属 イグチ科
42 ツブエノウラベニイグチ イグチ属 イグチ科
43 ヤマドリタケモドキ イグチ属 イグチ科
44 アメリカウラベニイロガワリ近縁種? イグチ属 イグチ科
45 クロアワタケ キアミアシイグチ属/イグチ属 イグチ科
46 アケボノアワタケ アケボノアワタケ属/ニガイグチ属 イグチ科
47 アシボソニガイグチ ニガイグチ属 イグチ科
48 ニガイグチモドキ ニガイグチ属 イグチ科
49 ミドリニガイグチ ニガイグチ属 イグチ科
50 アカヤマドリ アカヤマドリ属/ヤマイグチ属 イグチ科
51 ネナガシロヤマイグチ ヤマイグチ属 イグチ科
52 アイタケ ベニタケ属 ベニタケ科
53 ウコンハツ ベニタケ属 ベニタケ科
54 オキナクサハツ ベニタケ属 ベニタケ科
55 カワリハツ ベニタケ属 ベニタケ科
56 キチャハツ ベニタケ属 ベニタケ科
57 クサハツ ベニタケ属 ベニタケ科
58 クロハツ ベニタケ属 ベニタケ科
59 シロクロハツ ベニタケ属 ベニタケ科
60 シロハツモドキ ベニタケ属 ベニタケ科
61 チシオハツ ベニタケ属 ベニタケ科
62 ドクベニダマシ ベニタケ属 ベニタケ科
63 ヤブレベニタケ ベニタケ属 ベニタケ科
64 アオゾメツチカブリ チチタケ属 ベニタケ科
65 ツチカブリ チチタケ属 ベニタケ科
66 クロチチダマシ チチタケ属 ベニタケ科
67 チチタケ チチタケ属 ベニタケ科
68 ヒロハチチタケ チチタケ属 ベニタケ科
69 モチゲチチタケ チチタケ属(広義) ベニタケ科
70 キチチタケ カラハツタケ属/チチタケ属 ベニタケ科
71 ニセヒメチチタケ カラハツタケ属/チチタケ属 ベニタケ科
72 ニオイワチチタケ カラハツタケ属/チチタケ属 ベニタケ科
73 ハツタケ カラハツタケ属/チチタケ属 ベニタケ科
74 ヒロハウスズミチチタケ カラハツタケ属/チチタケ属 ベニタケ科
75 トラシマチチタケ マルチフルカ属/チチタケ属 ベニタケ科
76 アンズタケ アンズタケ属 アンズタケ科
77 ヒナアンズタケ アンズタケ属 アンズタケ科
78 オレンジアンズタケ(仮) アンズタケ属 アンズタケ科
79 アンズタケ属の一種 アンズタケ属 アンズタケ科
80 カレエダタケモドキ カレエダタケ属 カレエダタケ科
81 シロソウメンタケ シロソウメンタケ属 シロソウメンタケ科
82 フジウスタケ ウスタケ属/ラッパタケ属 ラッパタケ科
83 フサヒメホウキタケ フサヒメホウキタケ属/クラビコロナ属 マツカサタケ科/フサヒメホウキタケ科
84 モミジウロコタケ カタウロコタケ属 ウロコタケ科
85 アカコウヤクタケ アカコウヤクタケ属 ウロコタケ科
86 コウモリタケ ニンギョウタケモドキ属 ニンギョウタケモドキ科
87 ハチノスタケ ハチノスタケ属/タマチョレイタケ属 タマチョレイタケ科
88 アミスギタケ タマチョレイタケ属 タマチョレイタケ科
89 キアシグロタケ近縁種 タマチョレイタケ属/オツネンタケモドキ属 タマチョレイタケ科
90 ウチワタケ ツヤウチワタケ属 タマチョレイタケ科
91 ツヤウチワタケモドキ ツヤウチワタケ属 タマチョレイタケ科
92 ヒトクチタケ ヒトクチタケ属 タマチョレイタケ科
93 オシロイタケ オシロイタケ属 タマチョレイタケ科
94 カワラタケ  シロアミタケ属 タマチョレイタケ科
95 カイメンタケ カイメンタケ属 ツガサルノコシカケ科/サルノコシカケ科
96 コゲイロカイガラタケ キカイガラタケ属 キカイガラタケ科
97 ウズタケ オツネンタケ属 タバウロコタケ科
98 ニッケイタケ オツネンタケ属 タバコウロコタケ科
99 ツチグリ ツチグリ属 ディプロシスティス科/ツチグリ科
100 ヒメカタショウロ ニセショウロ属 ニセショウロ科
101 ネズミツチダマタケ ロスビーベラ属 イグチ科
102 スジチャダイゴケ チャダイゴケ属 ハラタケ科/チャダイゴケ科
103 ロウタケ ロウタケ属 ロウタケ科/シロキクラゲ科
104 ツノフノリタケ ニカワホウキタケ属 アカキクラゲ科
105 ツノマタタケ ニカワホウキタケ属 アカキクラゲ科
106 オチバノアカビョウタケ ランツィア属 トウヒキンカクキン科/キンカクキン科
107 ニセキンカクアカビョウタケ ディケファロスポラ属 ルトストロエミア科/キンカクキン科
108 Chlorosplenium属の一種 クロロスプレニウム属 ビョウタケ科
109 冬虫夏草属(広義)の一種 冬虫夏草属(広義) バッカクキン科(広義)
クダホコリ クダホコリ属 ドロホコリ科
マメホコリ マメホコリ属 ドロホコリ科

6 ヒメシロウテナタケ Delicatula integrella (Pers.) Fayod

  同定/和田(匠)
 定点観察会初記録。モミの生木樹皮上に子実体を発生させていた。 本種の主な肉眼的特徴は、子実体全体が白色半透明で、傘は平開し縁部はノコギリ刃状、裏面はシワ状から不完全なヒダを5〜8枚形成することである。
<参考文献>
青木実・日本きのこ同好会著、名部みち代編「日本きのこ図版 第一巻」 2008

50 アカヤマドリ Rugiboletus extremiorientalis (Lj.N. Vassiljeva) G. Wu & Zhu L. Yang

 文/大前
 従来ヤマイグチ属として扱われていたが、近年の分子系統解析の結果から本種はヤマイグチ属と異なるグループであることが判明し、今年、新属アカヤマドリ属(Rugiboletus)が設立された。本属はアカヤマドリおよび中国で記載されたRugiboletus brunneiporus G. Wu & Zhu L. Yangの2種のみで構成される小さな属であり、しわ状でゼラチン化する傘、黄色の管穴、粒点を有する柄、傘表面のゼラチン化する毛状被により他のイグチ科の属と区別できる。
<参考文献>
Wu G. et al. 2015. Four new genera of the fungal family Boletaceae. Fungal Diversity, in press.

106 オチバノアカビョウタケ Lanzia huangshanica W.Y. Zhuang

 同定/和田(匠)
 スダジイの葉柄に子実体を発生させていた。微小なため発見例は少ないが、シイ類やカシ類の生育している場所では、普通に生育していると思われる。過去の定点においても何度か採集されているが、Dicephalospora rufocornea(和名:ニセキンカクアカビョウタケ)と混同されているので、以下ニセキンカクアカビョウタケとの肉眼的な違いを簡単に併記する。
 子嚢盤基質
ニセキンカクアカビョウタケ3〜5mmで橙黄色〜黄色広葉樹材(落枝)
オチバノアカビョウタケ0.5〜2mmで赤橙色〜赤色広葉樹落葉の葉柄
<参考文献>
本郷次雄・上田俊穂監修「新装版 ヤマケイフィールドブックス7 きのこ」 2006
神奈川県立生命の星・地球博物館ボランティアグループ著「入生田菌類誌 第一巻」 2011

採集したキノコ一覧


ヒメシロウテナタケ

アメリカウラベニイロガワリ近縁種?

オチバノアカビョウタケ

Chlorosplenium属の一種

冬虫夏草属(広義)の一種