兵庫きのこ研究会 修法ヶ原定点観察会(2015.9.20)

今月は久しぶりに晴天で、夏の終わりを感じさせる涼しげな空の下、さぞかし多くのきのこが出ているだろうと思っていましたが、予想通りで2台のテーブルで同定した。
ワカクサウラベニタケのような緑色のきのこも採取された。
オオイチョウタケも大量に採取され、きのこ鍋に提供する為、班の方が持ち帰られた。


今月の主役/ワカクサウラベニタケ

惜しくも表紙次点!/ヒメカバイロタケ&キマワリ

柄も傘も芸術的/ザラエノハラタケ

定点初観察、シックなきのこ/チャナバ?

彩り鮮やか/ナギナタタケ

オオイチョウタケ大量発生

うれしそうに採集する人達

菌に寄生するアキノギンリョウソウ

同じく菌に寄生、絶滅危惧種ホンゴウソウ

あっちのテーブルもこっちのテーブルも

前代未聞の種数記録

楽しくきのこ談義

熱心に調べる若者達

N氏の丁寧でわかりやすい解説

ベテランT氏の為になるお話

I氏はほのぼのとおいしいきのこの話

W君はちょっと小難しい話

2015年9月20日 観察記録

天候:晴れ 参加者:参加者:39人+α11人
和名 属名(新分類/旧分類) 科名(新分類/旧分類)
1 ウスヒラタケ ヒラタケ属 ヒラタケ科
2 ヌメリガサ属の一種1 ヌメリガサ属 ヌメリガサ科
3 ヌメリガサ属の一種2 ヌメリガサ属 ヌメリガサ科
4 ヌメリガサ属の一種3 ヌメリガサ属 ヌメリガサ科
5 アカヤマタケ アカヤマタケ属 ヌメリガサ科
6 トガリツキミタケ アカヤマタケ属 ヌメリガサ科
7 トガリベニヤマタケ? アカヤマタケ属 ヌメリガサ科
8 ベニヒガサ アカヤマタケ属 ヌメリガサ科
9 ウラムラサキ キツネタケ属 ヒドナンギウム科/キシメジ科
10 カレバキツネタケ キツネタケ属 ヒドナンギウム科/キシメジ科
11 キツネタケ キツネタケ属 ヒドナンギウム科/キシメジ科
12 ヤグラタケ ヤグラタケ属 シメジ科
13 カキシメジ キシメジ属 キシメジ科
14 コノハシメジ キシメジ属 キシメジ科
15 ニオイキシメジ キシメジ属 キシメジ科
16 ミネアカゲシメジ キシメジ属 キシメジ科
17 サマツモドキ サマツモドキ属 ?科/キシメジ科
18 オオイチョウタケ オオイチョウタケ属/ロイコパキシルス属 ?科/キシメジ科
19 スギヒラタケ スギヒラタケ属 ?科/キシメジ科
20 ヒメキシメジ ヒメキシメジ属 ?科/キシメジ科
21 キチャホウライタケ ヒメカバイロタケ属 ?科/キシメジ科
22 ヒメカバイロタケ ヒメカバイロタケ属 ?科/キシメジ科
23 アカアザタケ属の一種? アカアザタケ属? ツキヨタケ科?
24 モリノカレバタケ属の一種 モリノカレバタケ属 ツキヨタケ科/キシメジ科
25 ワサビカレバタケ モリノカレバタケ属 ツキヨタケ科/キシメジ科
26 ナラタケモドキ ナラタケ属 タマバリタケ科/キシメジ科
27 ビロードツエタケ属の一種 ビロードツエタケ属/ツエタケ属 タマバリタケ科/キシメジ科
28 サクラタケ クヌギタケ属 クヌギタケ科/キシメジ科
29 チシオタケ クヌギタケ属 クヌギタケ科/キシメジ科
30 クヌギタケ属の一種1 クヌギタケ属 クヌギタケ科/キシメジ科
31 クヌギタケ属の一種2 クヌギタケ属 クヌギタケ科/キシメジ科
32 クヌギタケ属の一種3 クヌギタケ属 クヌギタケ科/キシメジ科
33 ニカワラッシタケ ラッシタケ属 クヌギタケ科
34 イボテングタケ テングタケ属 テングタケ科
35 オオオニテングタケ テングタケ属 テングタケ科
36 カバイロツルタケ テングタケ属 テングタケ科
37 ガンタケ テングタケ属 テングタケ科
38 クロコタマゴテングタケ テングタケ属 テングタケ科
39 コテングタケモドキ テングタケ属 テングタケ科
40 シロオニタケ テングタケ属 テングタケ科
41 シロテングタケ テングタケ属 テングタケ科
42 スオウシロオニタケ テングタケ属 テングタケ科
43 タマゴタケモドキ テングタケ属 テングタケ科
44 タマゴテングタケモドキ テングタケ属 テングタケ科
45 タマシロオニタケ テングタケ属 テングタケ科
46 ドウシンタケ テングタケ属 テングタケ科
47 ハイイロオニタケ テングタケ属 テングタケ科
48 フクロツルタケ(広義) テングタケ属 テングタケ科
49 ヘビキノコモドキ テングタケ属 テングタケ科
50 ティラミステングタケ(仮) テングタケ属 テングタケ科
51 カラカサタケ カラカサタケ属 ハラタケ科
52 ウスキモリノカサ ハラタケ属 ハラタケ科
53 ザラエノハラタケ ハラタケ属 ハラタケ科
54 オニタケ オニタケ属 ハラタケ科
55 キツネノカラカサタケ属の一種 キツネノカラカサ属 ハラタケ科
56 ヒトヨタケ ヒトヨタケ属/ヒトヨタケ属 ナヨタケ科/ヒトヨタケ科
57 ニガクリタケ ニガクリタケ属 モエギタケ科
58 キツムタケ チャツムタケ属 モエギタケ科/フウセンタケ科
59 チャツムタケ チャツムタケ属 モエギタケ科
60 チャツムタケ属の一種 チャツムタケ属 モエギタケ科
61 キイロアセタケ アセタケ属 アセタケ科/フウセンタケ科
62 ザラツキキトマヤタケ アセタケ属 アセタケ科
63 アセタケ属の一種1 アセタケ属 アセタケ科
64 アセタケ属の一種2 アセタケ属 アセタケ科
65 アイカシワギタケ? フウセンタケ属 フウセンタケ科
66 アカツブフウセンタケ フウセンタケ属 フウセンタケ科
67 イロガワリフウセンタケ フウセンタケ属 フウセンタケ科
68 ウスフジフウセンタケ フウセンタケ属 フウセンタケ科
69 カワムラフウセンタケ フウセンタケ属 フウセンタケ科
70 クリフウセンタケ フウセンタケ属 フウセンタケ科
71 チャナバ? フウセンタケ属 フウセンタケ科
72 ツバムラサキフウセンタケ フウセンタケ属 フウセンタケ科
73 ハイムラサキフウセンタケ フウセンタケ属 フウセンタケ科
74 ムラサキアブラシメジモドキ フウセンタケ属 フウセンタケ科
75 ムラサキフウセンタケ フウセンタケ属 フウセンタケ科
76 フウセンタケ属の一種1 フウセンタケ属 フウセンタケ科
77 フウセンタケ属の一種2 フウセンタケ属 フウセンタケ科
78 フウセンタケ属の一種3 フウセンタケ属 フウセンタケ科
79 フウセンタケ属の一種4 フウセンタケ属 フウセンタケ科
80 フウセンタケ属の一種5 フウセンタケ属 フウセンタケ科
81 アオエノモミウラタケ亜属の一種 イッポンシメジ属 イッポンシメジ科
82 アカイボカサタケ イッポンシメジ属 イッポンシメジ科
83 クサウラベニタケ イッポンシメジ属 イッポンシメジ科
84 シロイボカサタケ イッポンシメジ属 イッポンシメジ科
85 ワカクサウラベニタケ イッポンシメジ属 イッポンシメジ科
86 ニワタケ イチョウタケ属/ヒダハタケ属 イチョウタケ科/ヒダハタケ科
87 オウギタケ オウギタケ属 オウギタケ科
88 アミタケ ヌメリイグチ属 ヌメリイグチ科/イグチ科
89 チチアワタケ ヌメリイグチ属 ヌメリイグチ科/イグチ科
90 ヌメリイグチ ヌメリイグチ属 ヌメリイグチ科/イグチ科
91 キクバナイグチ キクバナイグチ属 イグチ科/オニイグチ科
92 キイロイグチ キイロイグチ属 イグチ科
93 ヌメリコウジタケ ヌメリコウジタケ属 イグチ科
94 ヒメアワタケ トゥボサエタ属/アワタケ属 イグチ科
95 ダイダイイグチ クロキノボレトゥス属/イグチ属 イグチ科
96 ヤマドリタケモドキ(広義) イグチ属 イグチ科
97 ニセヌメリコウジタケ(仮) イグチ属 イグチ科
98 アケボノアワタケ アケボノアワタケ属 イグチ科
99 アイゾメイグチ クリイロイグチ属 クリイロイグチ科/イグチ科
100 クリイロニガイグチ クリイロイグチ属 クリイロイグチ科/イグチ科
101 ホオベニシロアシイグチ ホオベニシロアシイグチ属/ニガイグチ属 イグチ科
102 アカヤマドリ アカヤマドリ属/ヤマイグチ属 イグチ科
103 アイタケ ベニタケ属 ベニタケ科
104 アイバシロハツ ベニタケ属 ベニタケ科
105 カレバハツ ベニタケ属 ベニタケ科
106 カワリハツ ベニタケ属 ベニタケ科
107 キチャハツ ベニタケ属 ベニタケ科
108 クサハツ ベニタケ属 ベニタケ科
109 クロハツモドキ ベニタケ属 ベニタケ科
110 ケショウハツ ベニタケ属 ベニタケ科
111 シロクロハツ ベニタケ属 ベニタケ科
112 ススケドクベニタケ? ベニタケ属 ベニタケ科
113 ドクベニタケ ベニタケ属 ベニタケ科
114 ニセクロハツ ベニタケ属 ベニタケ科
115 ヤブレベニタケ ベニタケ属 ベニタケ科
116 ベニタケ属の一種 ベニタケ属 ベニタケ科
117 アカシミヒメチチタケ(仮) カラハツタケ属/チチタケ属 ベニタケ科
118 アカハツ カラハツタケ属/チチタケ属 ベニタケ科
119 ウズハツ カラハツタケ属/チチタケ属 ベニタケ科
120 キチチタケ カラハツタケ属/チチタケ属 ベニタケ科
121 ニオイワチチタケ カラハツタケ属/チチタケ属 キシメジ科
122 ニセヒメチチタケ カラハツタケ属/チチタケ属 ベニタケ科
123 ハツタケ カラハツタケ属/チチタケ属 ベニタケ科
124 ケシロハツモドキ チチタケ属 ベニタケ科
125 チチタケ チチタケ属 ベニタケ科
126 チョウジチチタケ チチタケ属 ベニタケ科
127 ツチカブリ チチタケ属 ベニタケ科
128 ハイイロカラチチタケ チチタケ属 ベニタケ科
129 ヒロハウスズミチチタケ チチタケ属 ベニタケ科
130 カンゾウタケ カンゾウタケ属 カンゾウタケ科
131 アクイロウスタケ アンズタケ属 アンズタケ科
132 アンズタケ アンズタケ属 アンズタケ科
133 オレンジアンズタケ(仮) アンズタケ属 アンズタケ科
134 ミキイロウスタケ クロラッパタケ属 アンズタケ科
135 クロラッパタケ クロラッパタケ属 アンズタケ科
136 ムラサキナギナタタケ ムラサキナギナタタケ属 ヒナノヒガサ科
137 キソウメンタケ ナギナタタケ属 シロソウメンタケ科
138 ナギナタタケ ナギナタタケ属 シロソウメンタケ科
139 ベニナギナタタケ ナギナタタケ属 シロソウメンタケ科
140 シロソウメンタケ シロソウメンタケ属 シロソウメンタケ科
141 サヤナギナタタケ ナギナタタケ属 シロソウメンタケ科
142 ウスタケ ウスタケ属 ラッパタケ科
143 フジウスタケ ウスタケ属 ラッパタケ科
144 ホウキタケ属の一種 ホウキタケ属 ラッパタケ科
145 ヒイロハリタケ マクカワタケ属 マクカワタケ科/コウヤクタケ科
146 アイコウヤクタケ アイコウヤクタケ属/プルケルリシウム属 マクカワタケ科/コウヤクタケ科
147 チャウロコタケ キウロコタケ属 ウロコタケ科
148 モミジタケ イボタケ属 イボタケ科
149 モミジウロコタケ カタウロコタケ属 ウロコタケ科
150 ハナウロコタケ ハナウロコタケ属 シワタケ科/タチウロコタケ科
151 カノシタ属の一種 カノシタ属 カノシタ科
152 マツバハリタケ科の一種 ?属 マツバハリタケ科/イボタケ科
153 ケロウジ コウタケ属 マツバハリタケ科/イボタケ科
154 キアシグロタケ近縁種 タマチョレイタケ属 タマチョレイタケ科
155 ウチワタケ ツヤウチワタケ属 タマチョレイタケ科
156 ツヤウチワタケ ツヤウチワタケ属 タマチョレイタケ科
157 ヒトクチタケ ヒトクチタケ属 タマチョレイタケ科
158 オシロイタケの仲間 シミタケ属/オシロイタケ属 タマチョレイタケ科
159 ヒイロタケ シュタケ属 タマチョレイタケ科
160 カワラタケ シロアミタケ属 タマチョレイタケ科
161 カイガラタケ カイガラタケ属 タマチョレイタケ科
162 シハイタケ シハイタケ属 ?科/タマチョレイタケ科
163 ハカワラタケ シハイタケ属 ?科/タマチョレイタケ科
164 ミイロアミタケ チャミダレアミタケ属 タマチョレイタケ科
165 ホウネンタケ ホウネンタケ属 タマチョレイタケ科
166 コフキサルノコシカケ マンネンタケ属 タマチョレイタケ科/マンネンタケ科
167 ワヒダタケ タバコウロコタケ属 タバコウロコタケ科
168 ウズタケ オツネンタケ属 タバコウロコタケ科
169 ニッケイタケ オツネンタケ属 タバコウロコタケ科
170 ツチグリ ツチグリ属 ディプロシスティス科/ツチグリ科
171 ヒメカタショウロ ニセショウロ属 ニセショウロ科
172 ホコリタケ ホコリタケ属 ハラタケ科
173 マツカサタケ マツカサタケ属 マツカサタケ科
174 ヒダフクロツチガキ ヒメツチグリ属 ヒメツチグリ科
175 ヒナツチガキ ヒメツチグリ属 ヒメツチグリ科
176 スッポンタケ(幼菌) スッポンタケ属 スッポンタケ科
177 ニセキンカクアカビョウタケ ディケファロスポラ属 ルトストロエミア科/キンカクキン科
178 ヒメロクショウグサレキン ロクショウグサレキン属 ロクショウグサレキン科/ズキンタケ科
179 ズキンタケ ズキンタケ属 ズキンタケ科
180 ナガエノチャワンタケ ノボリリュウタケ属 ノボリリュウタケ科
181 オリーブサラタケ アレウリナ属 ピロネマキン科
182 ツクツクボウシタケ イザリア属 ノムシタケ科
Sepedonium chrysospermum セペドニウム属 ヒポミケス科
ヘビヌカホコリ ヘミトリキア属 トリキア科

65 アイカシワギタケ? Cortinarius cyanites Fr.?

同定/和田(匠)
  定点観察会初記録。アイカシワギタケの主な肉眼的特徴は、傘は青紫色地に同色の繊維を放射状に密布し、柄は下部が肥大し、肉が赤変することである。また、主な顕微鏡的特徴は、担子胞子は楕円形で、9〜11×5.5〜6.5 μm、棍棒型の縁シスチジアを有することである。採集された子実体はアイカシワギタケに類似するが、胞子サイズは9.2×5.5 μm(平均値)とやや小型で、現在のところ、縁シスチジアが見つかっていないため疑問符をつけた。 また、本種は稀な菌とされており、今後の定期的な観察が必要である。
<参考文献>
池田良幸著、本郷次雄監修「新版 北陸のきのこ図鑑」2013 橋本確文堂

71 チャナバ? Cortinarius corrugatus Peck?

同定/和田(匠)
 定点観察会初記録。本種の主な肉眼的特徴は、傘の直径20〜90mm、表面は赤褐色、中央部を中心に農色の鱗片を密着させ、光沢があり乾性、周辺部は繊維状、柄の表面は繊維状、基部は橙色〜淡褐色の外皮膜に覆われ、しばしば球根状に膨らみ、不快臭を持つことである。主な顕微鏡的特徴は、アーモンド型で褐色の担子胞子を持つことである。このような特徴から、チャナバではないかと思われるが、本種は国内の文献には殆ど記載されていなく、チャナバの記載されている文献を未入手な為、文献を入手した上で、検討していくべきだと思われる。その為、疑問符をつけた。  また、チャナバとは山口県の地方名で、そのまま標準和名に採用されたという。また、山口県では佃煮などにして食用にされているという。

72 ツバムラサキフウセンタケ Cortinarius torvus (Fr. ) Fr.

同定/和田(匠)
 定点観察会初記録。本種の主な肉眼的特徴は、傘の直径は最大約60mm、表面は小鱗片に覆われ、帯フジニッケイ色〜銅色、ヒダは粗で、始め紫色のちにさび褐色、柄の上部は淡紫色、膜質のツバを持ち、下部は肥大し、帯褐色なことである。主な顕微鏡的特徴は紡錘型で8〜10.5×5×6.5μmの担子胞子を持つことである。 また、種小名の「torvus」は恐ろしい、威嚇するという意味である。
<参考文献>
今関六也・本郷次雄著「原色日本新菌類図鑑T」 1987 保育社 池田良幸著、本郷次雄監修「新版 北陸のきのこ図鑑」2013 橋本確文堂

95 ダイダイイグチ Crocinoboletus laetissimus (Hongo) N.K. Zeng, Zhu L. Yang & G. Wu

文/大前
 従来イグチ属に置かれていたが、近年の分子系統解析の結果に基づき、新属Crocinoboletus属が設立された。 本属は鮮橙黄色の子実体(ボレトクロシンという色素に起因する)、青みがかったオリーブ色への変色性、平滑の胞子などによって形態的に特徴づけられる。
<参考文献>
Zeng N.K. et al. 2014. Crocinoboletus, a new genus of Boletaceae (Boletales) with unusual boletocrocin polyene pigments. Phytotaxa 175: 133-140

101 ホオベニシロアシイグチ Pseudoaustroboletus valens (Corner) Yan C. Li et Zhu L. Yang

文/大前
 本種は従来、子実層がピンク色を帯びる点を重視しニガイグチ属に置かれていたが、近年の分子系統解析の結果に基づき、昨年、新属ホオベニシロアシイグチ属(Pseudoaustroboletus、偽のヤシャイグチ属の意味)が設立された。 本属はピンク色の子実層の他に、柄に隆起した粗い網目構造を有する点でヤシャイグチ属にも類似するが、ヤシャイグチ属は胞子表面にオーナメントを有するのに対し、本属は平滑な点で区別できる。
<参考文献>
Li YC et al. 2014. A new genus Pseudoaustroboletus (Boletaceae, Boletales) from Asia as inferred from molecular and morphological data. Mycological Progress 13:1207-1216

178 ヒメロクショウグサレキン Chlorociboria omnivirens (Berk.) J.R. Dixon

同定/和田(匠)
定点観察会初記録。本種の主な肉眼的特徴は、子嚢果の径は2〜4mm、こま型で短柄は中心性、子嚢盤の表面は緑青色を帯びる白色、裏面は緑青色、托外皮層の毛は不規則に分岐し、材を青く染色することである。主な顕微鏡的特徴は、子嚢は上半がアミロイドで特に頂孔顕著、紡錘形で13〜17×3〜4μmの子嚢胞子を持つことである。 上記の特徴から、本種はChlorociboria aeruginosa(和名:ロクショウグサレキン)に類似するが、ロクショウグサレキンの子嚢果は6mmに達し、子嚢盤は白色を帯びず、胞子サイズはやや小型で9〜15×2〜3μmな点などから、区別することができる。 微小なため、発見例は少ないが、全国的に普通に生育すると考えられる。
<参考文献>
池田良幸著、本郷次雄監修「新版 北陸のきのこ図鑑」2013 橋本確文堂

※Sepedonium chrysospermum

同定/和田(匠)
 定点観察会初記録。しかし、過去の定点においてセペドニウム属の一種や、Sepedonium chrysospermum?と同定されたものと、同一であると思われる。イグチと思われる残骸の表面にコロニーを形成していた。黄色の金平糖型の分生子を形成する。 同じくイグチに寄生する菌にSepedonium chlorinumがあるが、Sepedonium chlorinumはイグチの残骸の内部にコロニーを形成し、広壁で長紡錘型の分生子を持つため区別できる。

採集したキノコ一覧


アイカシワギタケ?

アイカシワギタケ? 胞子

チャナバ?

チャナバ? 胞子

ツバムラサキフウセンタケ

ツバムラサキフウセンタケ 胞子

:ヒメロクショウグサレキン

ヒメロクショウグサレキン 子嚢胞子
 
Sepedonium chrysospermum

Sepedonium chrysospermum 胞子