兵庫きのこ研究会 修法ヶ原定点観察会(2014.6.15)

梅雨の中休み、山の上は快晴で暑すぎず、とても気持ちの良い日でした。
きのこは夏の様相が現れており、菌根菌が多め。
観察会ではサンコタケショーもあり、大いに盛り上がりました。感想はS田くんまで。

苔むした木にひっそりと佇むウラベニガサの仲間

ダイダイガサの赤ちゃん

散策開始

スマホで写真撮影

フサヒメホウキタケ

カンゾウタケ

同定中

おもむろにサンコタケを手に取り…

S君の体を張ったサンコタケショー

2014年6月15日 観察記録

天候:晴れ時々曇り 参加者:29人+御影6+1
和名 属名(新分類/旧分類) 科名(新分類/旧分類)
1 マツオウジ マツオウジ属 キカイガラタケ科/ヒラタケ科
2 ベニヒガサ アカヤマタケ属 ヌメリガサ科
3 ウラムラサキ キツネタケ属 ヒドナンギウム科/キシメジ科
4 ヤグラタケ ヤグラタケ属 キシメジ科
5 アマタケ モリノカレバタケ属/モリノカレバタケ属 ホウライタケ科/キシメジ科
6 ツエタケ(広義) ツエタケ属 タマバリタケ科/キシメジ科
7 ダイダイガサ ダイダイガサ属 タバコウロコタケ科
8 チシオタケ クヌギタケ属 クヌギタケ科/キシメジ科
9 ヒメカバイロタケ ヒメカバイロタケ属 クヌギタケ科/キシメジ科
10 タマゴテングタケモドキ
(アカハテングタケ)
テングタケ属 テングタケ科
11 テングツルタケ テングタケ属 テングタケ科
12 ウラベニガサ(広義) ウラベニガサ属 ウラベニガサ科
13 ニガクリタケ クリタケ属 モエギタケ科
14 チャツムタケ属の一種 チャツムタケ属 モエギタケ科/フウセンタケ科
15 クロトヤマタケ アセタケ属 アセタケ科/フウセンタケ科
16 シロニセトヤマタケ アセタケ属 アセタケ科/フウセンタケ科
17 アセタケ属の一種 アセタケ属 アセタケ科/フウセンタケ科
18 キンチャフウセンタケ フウセンタケ属 フウセンタケ科
19 ムラサキフウセンタケ フウセンタケ属 フウセンタケ科
20 クリゲノチャヒラタケ チャヒラタケ属 アセタケ科
21 イッポンシメジ属の一種 イッポンシメジ属 イッポンシメジ科
22 キクバナイグチ キクバナイグチ属 イグチ科/オニイグチ科
23 コショウイグチ コショウイグチ属 イグチ科
24 アワタケ属の一種 アワタケ属 イグチ科
25 スミゾメヤマイグチ クロヤマイグチ属 イグチ科
26 アイバシロハツ ベニタケ属 ベニタケ科
27 アカカバイロタケ ベニタケ属 ベニタケ科
28 クサハツ ベニタケ属 ベニタケ科
29 チシオハツ ベニタケ属 ベニタケ科
30 ニオイコベニタケ ベニタケ属 ベニタケ科
31 ベニタケ属の一種 ベニタケ属 ベニタケ科
32 カンゾウタケ カンゾウタケ属 カンゾウタケ科
33 カレエダタケモドキ カレエダタケ属 カレエダタケ科
34 ウスタケ ウスタケ属/ラッパタケ属 ラッパタケ科
35 フサヒメホウキタケ フサヒメホウキタケ属 フサヒメホウキタケ科
36 コウヤクタケ属の一種 ?属 コウヤクタケ科
37 アシグロタケ タマチョレイタケ属 タマチョレイタケ科
38 アミスギタケ タマチョレイタケ属 タマチョレイタケ科
39 ウチワタケ ツヤウチワタケ属 タマチョレイタケ科
40 ヒトクチタケ ヒトクチタケ属 タマチョレイタケ科
41 オシロイタケ オシロイタケ属 サルノコシカケ科
42 ヒイロタケ シュタケ属 タマチョレイタケ科
43 ツガサルノコシカケ ツガサルノコシカケ属 サルノコシカケ科
44 ニッケイタケ オツネンタケ属 サルノコシカケ科
45 ヒメカタショウロ ニセショウロ属 ニセショウロ科
46 ノウタケ ノウタケ属 ハラタケ科/ホコリタケ科
47 キイロニカワタケ シロキクラゲ属 シロキクラゲ科
48 ニセキンカクアカビョウタケ ディケファロスポラ属 ルトストロエミア科/キンカクキン科
49 オオゴムタケ オオゴムタケ属 キリノミタケ科/クロチャワンタケ科
50 クロノボリリュウタケ ノボリリュウタケ属 ノボリリュウタケ科
51 ナガエノチャワンタケ ノボリリュウタケ属 ノボリリュウタケ科
52 クダホコリ クダホコリ属 ドロホコリ科

23 コショウイグチ Chalciporus piperatus (Bull.) Bataille

 文/大前
 本種はイグチ科の中では珍しく、樹木との間に外生菌根を形成しないため、どのように栄養を獲得しているのかよく分かっていなかった。一方、ニュージーランドおいて、本種はベニテングタケと同所的に発生することが知られていたため、ベニテングタケとの間に何らかの生態的な関係を結んでいるのではないかと疑われていた。 そんな中、昨年、本種の近縁種であるBuchwaldoboletus lignicola(ザイモクイグチやオオキイロイグチの仲間)が木材腐朽菌のカイメンタケの菌糸に寄生する能力を持つことが実験的に示唆されたため、本種も他の菌類に寄生して生活しているのではないかと言われている。しかし、今のところ本種が他の菌類に寄生しているという直接的な証拠はなく、日本においてはベニテングタケの存在しない環境からも発生することから、本種の寄生能力や宿主範囲に関しては今後の研究が待たれる。 また、ChalciporusやBuchwaldoboletusは、イグチ科の中で最も祖先的なグループであり、今年、これらの仲間に対し、新たにコショウイグチ亜科(Chalciporoideae)が設立された。
<参照文献>
  • Tedersoo L. et al. 2010. Ectomycorrhizal lifestyle in fungi: global diversity, distribution, and evolution of phylogenetic lineages. Mycorrhiza 20:217-263
  • Nuhn M.E. et al. 2013. Phylogenetic overview of the Boletineae. Fungal Biology 117: 479-511
  • Wu et al. 2014. Molecular phylogenetic analyses redefine seven major clades and reveal 22 new generic clades in the fungal family Boletaceae. Fungal Diversity (in press)

49 オオゴムタケ Trichaleurina tenuispora M. Carbone, Yei Z. Wang & C.L. Huang

 文/大前
 従来、本種に対しGaliella celebicaの学名が当てられていたが、昨年、形態学的な再検証に基づき上記の学名で新種として記載された。また、分子系統解析に基づき、クロチャワンタケ科からキリノミタケ科に移された。
<参考文献>
  • Carbone M. et al. 2013. Studies in Trichaleurina (Pezizales). Type studies of Trichaleurina polytricha and Urnula philippinarum. The status of Sarcosoma javanicum, Bulgaria celebica, and Trichaleurina tenuispora sp. nov., with notes on the anamorphic genus Kumanasamuha. Ascomycete.org 5:137-153.